発達障害児の支援を考えてわかったこと

今日のお話は長いです。

 

元々、子どもの遊び場に関わっていた私が、なぜ、

たけとんぼで「発達障害児の支援」にこだわった活動を始めたのか、その顛末と

その活動でわかったことを書きたいと思ったのです。

 

支援の在り方って、つまりは子育ての在り方と全く変わらないんだよ、

って気づくまでのお話です。

 

 

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昨年、「障害のある人の居心地のいい暮らしを応援する会社おめめどう」を知り、

そのセミナーを受講して思想に感動し、セミナーの内容を伝えるシェア会を開催しました。

 

うちには、障害のある子どもがいるわけではないし、私自身も障害があって困っているわけではありません。

 

でも、おめめどうを知るずっと前から、感覚統合理論の勉強は独学でしていました。

それはなぜかというと、感覚統合の理屈が子どもの自由な遊びを広げるためのツールとして

使える武器だと思っていたからです。

 

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私は、たけとんぼの運営を始める前は、プレイパークのスタッフをしていました。

 

知らない方のために説明すると、プレイパークというのは

 

「子どもが成長するのには、ご飯を食べたり、眠ったりするのと同じレベルで遊びが大切なのに、

現代の子どもたちは、遊び場、遊ぶ時間、遊ぶ仲間を失って、生きるための力を養う機会を無くしている。

そんな子供たちに、遊びのすべてを回復する場所を!」

 

という趣旨のもとに全国に作られている、規制の少ない自由な遊び場です。

冒険遊び場づくり協会作成の、60秒でわかる冒険遊び場とは?

 

相模原には、中央区淵野辺公園の隣に銀河の森プレイパークという常設のプレイパークが

行政の委託を受けて運営されています。

 

そのスタッフをしていた当時、もう六年前になるのかな?

東京都練馬のプレイパークが開催していた感覚統合の講座に参加し、

それを受けて作られた「楽しく遊んで子どもは育つ」という冊子の編集に関わらせていただきました。

 

この時の衝撃といったら。

 

子どもの発達理論を専門に学んだ方であれば、さらっと理解して流す内容なのでしょうが、

何しろ私は、初めて聞く内容です。

 

子どもの発達と遊びの密接な関係を知り、「ヒト」の子として生まれた生き物が「人間」になるために

いかに遊びが大切なものなのかを知って、ものすごく興奮しました。

 

それは、障害児も定型発達の子どもも関係なく、

すべての子どもの発達のために必要な「遊び」というものを

 

感覚入力⇒統合の視点から解明する理屈で、

これを知っても、まだ「遊びより早期教育が大事」とか言っちゃう人がいるとは思えない、

これは、プレイパークの武器になると思えたお話でした。

 

そして、私が知ったこの興奮と衝撃を伝えたいと思い、

より深く勉強した内容を、たけとんぼで話すようになりました。

 

そうして、感覚統合のお話をしていると、育てにくいお子さんを持つお母さんからの

相談がちょこちょこ入るようになりました。

 

でも、私は理屈は知っていても、療育は経験したことが無い。

何をすることを指して、療育というのかも知らない。

 

だから、相談を受けても、満足に回答できることはなく、それが何とももどかしいと思っていました。

 

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そんなある日、Facebookの「さがみはらぶ/相模原部/SagamihaLove」というグループが

やっていたラジオ番組に、音楽療育の教室を主催する西堀美和ちゃんが出演しました。

 

そこからなんでやり取りを始めたんだったか忘れたんだけど、

最初は友人として、木登りやプレイパークのコンサートを一緒にやったり、

気さくにお付き合いしてもらっていました。

 

そのうちに、私が外遊びの場で出会う子どもたちのことを、ちょこちょこ相談するようになると

いつも適切な回答を、迷いなくバシッとくれる美和ちゃんの知識と知恵に感動し、

たけとんぼで、先生向けに応用行動分析の講座を行うようになりました。

 

そして、翌年は、ゆっくりさんとあるこうを開催、今に至っています。

美和ちゃんの話してくれる「応用行動分析」は、簡単に言ってしまうと

①コミュニケーションに障害を抱えた子どもたちに、効果的に伝える方法

であり

②言語以外の部分で誤学習させてしまいがちな、親の対応を整える方法

であり、そのために

③言い聞かせても伝わらない時期の、定型発達の子どもたちにも、わかりやすく伝える方法

なのでした。

 

なので、この講座は、子どもは何も悪くないという名前でもりのこのお母さんたちに向けて話してもらっている内容でもあります。

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さて、私は感覚統合のお話によって、子どもの状態像を理解するための手がかりを得るすべを知りました。

そして、美和ちゃんに、「療育のノウハウ=伝え方の技術」を教えてもらいました。

 

療育者として生きていくなら、他にも知らなくてはいけないことはきっとたくさんあります。

たとえば評価の方法だとか。

苦手な行為からさかのぼって、どこを整えたらいいのかを見分ける方法だとか。

教具や遊具を作る方法だとか。

 

でも、私がやりたいのは、発達障害のある子にぴったり寄り添って

「個別の指導計画が作れる人」になることではなく、

今、子育てで困っている人に、道筋を示し安心してもらう事と、子どもを外に連れ出して遊ぶ事です。

(もっと言うなら、どんな子どもが、どこで、どんなふうに遊びまわっていても、ニコニコ受け入れてもらえる社会の構築です。)

 

だとすると、あと足りないのは、技術や知識というよりも、思想と哲学でした。

「哲学というのは、よく生きるための、おおもとになる考え方のことです。

何か困った時、壁にぶつかった時に、そこに立ち戻って、その考え方に則って

どうしたらいいのかを判断するための、人生の根本原則のことです」

 

と、高校の時の倫社の陽明先生が言いました。なるほど根本原則。

 

困ったことがあった時に

「これはどうしたらいいのでしょうか?」

と何でも専門家に聞くのではなく、

おおもとの原理原則に立ち返って、自分で判断できるようになるための指針。

それが哲学なのですね。

 

そして、おめめどうには、それがありました。
支援の哲学。

汎用性が高く、一般の子育てにも応用できる素晴らしい哲学が。

図で書くとこういう感じなのですが、全体の水色の領域が、おめめどうの思想=人権尊重を指します。

その中に、『子供の特性を理解する』ことと『特性に合わせた支援のノウハウ=子育てのノウハウ』があります。

 

特性を理解する中には、

「得意不得意を知っておく、そのために、診断を受け、苦手な領域がどこなのかをわかっておく」

「感覚過敏や、鈍麻、そこから来る生活上の不便やつらさを知っておく」

「自己肯定感を高めるため、余暇活動を充実させるため、得意なこと、好きなこと知り伸ばす」

等の具体的な項目があります。

感覚統合の理屈を知っておくのは、「感覚過敏や鈍麻の存在を知る』ために有効です。

 

支援ノウハウの中には、

「目で見てわかるよう、環境を整え、伝え方を工夫する(構造化・応用行動分析の手法など)」

「過敏な感覚が生活上の支障を生まないように和らげるグッズや方法を知る」

「コミュニケーションの障害を、障害のままにしないように、本人からの自発的コミュニケーションを導く」

等の項目があります。

佐々木正美先生が日本に持ってこられたTEACCHやPECS、それに美和ちゃんが実践するABAもここに入ります。

それらの理解と実践は、何にもとづいて行うのかというと、発達障害の人の「人権を尊重する意識」です。

 

人権の尊重とは端的に

 

①日常生活を不安なく送ることができる

②自分のやりたいことができる

 

に集約されると思うのですが、日常生活の不安を取り除くための基本的支援が

 

①空間の構造化(目で見てわかる機能の提示)

②時間の構造化(スケジュールとカレンダー)

③人の構造化(支援者が変わっても変わらない支援の提供)

④感覚過敏への対応

 

であり、自分のやりたいことができるためには

 

⑤正確な表出のための筆談推進

 

が必要なのです。

この四つの項目が、円の重なる部分に入り、これがピタッと決まった時、

その人の人生は生き生きとその人のものになるのだと思います。

 

(同じ図を、別の言葉で書きかえてみました↓)

 

さて。長々書いてきましたが。

私はこの、人権尊重を基本にした支援の在り方を教わった時、

定型さんの子育てと何が違うんだろうか、と思いました。

 

だって、子どもを育てている時に、その子が健やかに育っているかどうかチェックする指標は

①安心できる居場所があるか?

②自分の意思で自分のやりたいことをしているか?

の二つじゃないですか?

この二つがクリアできたら、子育ては花マルじゃないですか?

心の安定と、自発的行動。

 

何が違うんだ?と思いました。

発達の問題があろうがなかろうが、人という生物は、自分を受け入れてもらえる場所で安らぎ

そこでエネルギーを蓄えて、外の世界を開拓していく。

そういうものなんだな、と。


私がやりたいことも、子どもの居場所を作ることと、

やりたい気持ちを大事にして遊びつくせる子を育てること。

 

人権尊重というキーワードを軸に、すべてがつながったように感じているのです。

 

障害の支援も、子育ちの支援も、その人が「何の心配もなく、やりたいことができるようにしていく」こと。

それが大事なんです。

 

そして、「子ども」や「障害を持つ人」や、つまり、

社会において一番、声が届きにくい人たちの支援を考えることは、
結局まわりまわって、全体の暮らしをよりよくしていくことにつながると思うので

私はここにこだわりたいのです。

相模原市内にある常設のプレイパーク。

日曜、月曜、水曜が開園日です。

詳しくはリンクをクリック!

 

 

 

 

銀河の森プレイパークで活動する、ママと小っちゃい子のための青空外遊びの会「もりのこ」。就学前のお子さんであれば、どなたでもご参加いただけますよ。

発達障害を持つ中学生の親御さん対象のおしゃべり会です。
どんな人たちが、どんな気持ちで運営しているのか読んでみてください。

ご存じ、音楽療育家の西堀美和ちゃんが小田急相模原で開設しているゆっくりさんたちのための教室です。NPO法人てとて。

感覚統合について学びたい方へ向けた、出張講座を承っております。こどもに関わるお仕事をされている方、育児サークル、何でも五名以上で伺いますよ。